僕は勉強の暗記はからきしですが、
過去の記憶や出来事はよく覚えている方だと思います。
何気ない会話や表情を思い出して、その時の相手の意図が分かったり、
自分ですら自覚していなかった当時の感情を当てることもできます。
今回は、そんな僕の昔話をしつつ、おまけとして文章力の筋トレ方法を紹介します。
文章力を上げる練習法
どこにも連載されていない僕の過去編よりも、文章力の筋トレに興味がある人の方が多いと思ったので、おまけの方から先に語ります。
文章力の筋トレとは、ずばり写経です。
写経と言ってもお経を書き写すわけではなく、他人の文章を書き写します。
この方法、色んな人にオススメされています。
有名人でいうと、教育学者の斎藤孝さん、ジャーナリストの池上彰さん、ミュージシャン兼作家の大槻ケンヂさんなど。
そのほかに有名ブロガーや作家など上げればキリがありません。
僕も「効果はあるんだろうな」とは思っていましたが、メンタルブロックとして3つの問題があって中々始められずにいました。
・効率が悪そう
・本当に効果が出るのか疑わしい
・何を写経すればいいのか分からない
とはいえ、やってみないことには何とも言えないし、
一見効率の悪そうなことが結局は近道だった、なんてことはよくあるので実際に始めてみました。
↑写経に使っている題材は「ほぼ日刊イトイ新聞」の糸井重里さんのコラム。
写経はGoogleドキュメントに打ち込んで記録を残しています。
糸井さんの文章は、丁寧で分かりやすく、そして考えさせられます。
このクオリティをほぼ毎日何十年もアップし続けてるのは異次元の凄さ、もはや達人の域です。
文章力を鍛える題材としては持ってこいでしょう。
※題材は新聞のコラムでも、好きな作家やブロガーの文章でもいいと思います。
現在は写経を始めて2週間ちょっと経ちますが、その効果はよく分かりません。
文章のリズム、改行や段落の使い方、漢字ひらがなの使い分け、言葉や表現の使い方。
写経することでそれらが身についている自覚はありません。
ただ、写経を日課にしてから、そのままの集中力で作業に取り掛かりやすくなったこと、
写経中にブログのネタがひらめいたこと、
そういったメリットは感じています。
効果の実感はまだまだ先になりそうですが、写経自体は苦ではないし集中しやすいので継続していこうと思います。
ただ、写経はタイプよりも手書きの方が良いという意見もあったので、どうしようか検討中です。
夜の匂い
文章力の筋トレと称して毎日写経を行うように、
中学時代の僕はテニスの素振りを毎日やっていました。
その頃のことを思い出すと浮かんでくるのは、柄にもなく励んでいた部活動の日々です。
当時、校舎の建て替えでテニスコートが少なくなっていたので、
女子と交代で、練習の半分は自転車で20分ほどかかる山奥の市営コートで行っていました。
部内で流行っていた2ちゃんねる、バンプオブチキンの音楽、わざと遠回りしてダラダラと自転車を走らせた帰り道の空気。
その時の夜風がやけに濃密に感じられ、以後十何年にも渡って僕の頭の片隅に残り続けています。
匂いや空気感の記憶は自力で思い出すことができないけど、再入力することでその都度、一気に思い出されます。
音や景色は録音や写真にして残しておくことができますが、
匂いや空気感は記録することはできません。
あくまで自分の脳が何かを感じ取った時だけ、勝手に脳内に保存されています。
高3の夏休みに流星群を見に行ったこと、
大学入学前後の夜、毎日一人で河川敷を走っていたこと、
ニートになってから、深夜に原付きバイクで隣町のTSUTAYAに行ったこと、
何か大きな出来事というよりも、何気ない、なんでもないシーンばかりを覚えています。
いずれの出来事も、当時の時期や時間に近づけば近づくほど、
濃い匂いとなって僕にまとわりつきます。
そんな時、思わず僕は外に飛び出して、あの時の空気や匂いにもっと触れたくて、
当時の行動を再現しようとしてしまいます。
しかし、近づけども、重ならず。
いくら状況を真似ても当時の記憶にぴたりとは重ならず、うなだれて帰宅するのですが、
面白いことに、今度はその時の記憶が「その夜だけの匂い」となって、数年後にいきなり僕を狂わせたりもします。
もう、何の記憶でもいいんじゃないか?
そうでもないんです。
あまり前向きな感じのしない、けど、僕にとってのささやかな贅沢。
今年も近づく春の匂いに、ドキドキしています。
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